俺の誕生日にサイト開いてる
でなんかくれとのうったえがトップページに

ではといきなり書き込んで見ます。








蒸し鶏




「まだまだ、修行中の身ではありますが、私に料理を作らせてはもらえませんか?」
「なんでさ?」
「シロウやサクラがいつも美味しい料理を作ってくれていることには、感謝しています。しかし私だけ何もしないのは、心苦しいのです」
買い物の途中、セイバーが言い出した。見れば何かのメモを持っている。
受け取ってよくよく見てみると、材料と調理手順の書かれた中華風の蒸し鶏レシピだった。何でも遠坂の家に有った料理本から、アドバイスとともに書き出したのだという。l
「リンに相談したところ『セイバーは、味付けは未だ、全然だから市販のバンバンジ―ソースを使いなさいとのことです。下味をつけて蒸すだけだから、完全な失敗はしないでしょう』とアドバイスしてくれました、おかずの一品だけでも作らせてもらえないでしょうか?」
「確かに、蒸し物は失敗しにくい料理法だが、上手にやるには火加減と加熱時間が結構難しいな。俺、蒸して作るのはあまり上手くできないし」
「以前、シロウが作ったものの中にあったと思いますが」
「俺が作ったのは電子レンジでやってるんだ、遠坂は蒸篭でちゃんと蒸して上手にやるからな、茶碗蒸は出来るんだが、加熱のコツを掴むまでずいぶんかかったぞ」
「私には、無理でしょうか」
「いや、そこそこの物であれば出来るんだが、遠坂の作ったやり方が出来るように成るには、大変だと思う。というか俺がやっても遠坂のあの味は簡単には出せないとおもう」
「リンはシロウの蒸し鳥を食べてから、作り方を調べて作り、レパートリーに加えたそうですが」
「うわぁ、あいつ料理も天才か…、家へ来て蒸し器で、あっさり作ってたな…やらなきゃ覚えられないけど、このメモでは難しいな俺式のやり方で、味付けだけメモ通りのやり方で何とかなると思うけど俺じゃこの通りにはできないな。」
「料理とは奥がふかいものなのですね」
とりあえず鶏の胸肉と、中華風のあわせ調味料と中国酒、八角を買って行くことにした。野菜は家にあるもので間に合いそうだ。

「シロウの作った蒸し鳥も凄く美味しかった。鶏肉は三枚有ったから、蒸し方はシロウを手本にすることになっているから一枚はシロウの味付けで作って貰えないか?」
「ああ、それもいいな、遠坂流との味比べにもなるし」

米を研ぎ、鶏肉の下ごしらえをする。鶏肉を繊維方向にそって観音に開いて、厚みを均等にする。セイバーは包丁だとおっかなびっくりだが、ナイフで肉を捌かせると凄く器用だ、ウサギどころか鹿でもこれで捌けるそうだ、何でも戦地で覚えたそうだ、当時の市場では、肉は生きてるのを売ってたそうでその辺りは俺だったらとてもできない。魚ならまあ大体捌けるけど。
俺の作る和風は、塩をふり蒸す器に入れ、スライスした生姜と葱の青みのところをのせ日本酒を振りかけラップをする。
セイバーには塩加減を同じくらいにさせ、一枚づつ皿にいれ生姜と葱は同様にし八角をひとかけらづつのせて、中国酒をかけてラップをさせた。
「これであとは蒸す代わりに電子レンジで加熱するんだけど…」
「士郎〜!お姉ちゃん今日ビール飲みたいんで、つまみ買って来ちゃったこれ切ってちょうだいよ〜!」
台所に吼えながら、突入してくるタイガー
「セイバーちゃん飲むの付き合ってよ、はい士郎これ切ってね」
差し出された袋の中には…
「おい、ちょっとまてよ」
「タイガ、私は今日の夕食の調理を手伝わせてもらっています、悪いけど食事の時に付き合うのではダメでしょうか?」
「ダメ、一人だとさみしいんだもん、セイバーちゃんも飲まないとダメなの、お姉ちゃんに一人寂しくコップをあおれって言うの!」
「だから…私は夕食の」
「このトラ、かち合うもんを…」
「トラっていうな〜!」
「こんな高いばっかりで美味くもないもん買ってきて」
有名メーカー製の蒸し鶏の真空パックが入っていた。おいおい100グラム38円の鶏肉でやってるのに150グラムで380円は無いだろ。こんな無駄遣いするなら食費で入れろよ。
「なによ〜、一流メーカーのなんだから美味しいわよ〜、士郎にも味見させてあげるからさっさと切って、飲み友達のセイバーちゃんをこちらに寄越しなさい」
「セイバーは藤ねえと違って、夕食の支度を覚えようとしてるんだ、人にモノを教える仕事の人間が学ぶことをジャマするな!袋から出して自分で切ればいいだろ。」
「失敗して手を切って出血多量で死んじゃったらどうするのよ〜、意地悪だよ〜、お姉ちゃんは士郎をそんな子に育てた覚えはないよ〜」

この騒ぎは暫くかかりそうなので、セイバーは今の内に料理を完成させ士郎を驚かせてやろうと思い、電子レンジに自分の鶏肉の皿をいれ、凛のめもの目安時間にタイマーを合わせてスタートボタンを押した。
遠坂家では当主の性格からか科学で出来ることもとりあえずは魔術でやる傾向があり、電子レンジは使っていなかったが、セイバーはおやつなどで暖めた方が美味しいものなどは、士郎や桜に聞いて暖めたりすることがあるので、簡単に出来ると思っていたのだ。

「士郎には言ってないもん、セイバーちゃん、お姉ちゃんとビール飲もう」
暫くして矛先がセイバーに向いたころ
「ですから、タイガ私は夕食の支度で忙しいと…」
チーン 電子レンジが調理の終わりを告げた。

「出来ました…、えっと熱い!」
「おい、熱くなってるから気をつけて…なんかえらく熱くなってそうだけど何分やった?」
「はい、リンのメモの通り10分でやってみましたが」
「電子レンジだったら2分くらいでいいんだけど、火の通りが早いんだ、こりゃ硬くなっちゃったな」
「え、失敗なんしょうか?」
セイバーは困ったような、悔しいそうな表情を浮かべる。
「慣れていないことするから………ううん、ごめんセイバーちゃん、私が邪魔したんだよね」
急速に落ち込んでいくセイバーを見かねて、大河は文句を言いかけていたのを慌てて謝った。
「いえ、私が未熟だから…」
「セイバー落ち込むなよ、これぐらいの失敗はあるさ、違う料理になっちゃうけど美味しく食べられるようにするから心配するなよ、とりあえず残った2皿を2分ずつ暖めて」
「はい」
「藤ねえご飯早めにするから、先に風呂でも入ってて」
「うん、ごめんねセイバーちゃん、士郎そうするよ」
「さて邪魔者もいなくなったし、セイバー加熱が終わったら箸で肉を押さえて硬さを覚えて、慣れないうち加熱時間を少なめにして、この硬さになるまで様子をみると良いよ、遠坂がやるように蒸すんだとこれで熱が逃げるんで、勘だけで出来るようにならないと、最高の仕上がりになりにくいんだ、最初の分も押してみると硬いのがわかるだろ」


「最初の分は、火が通り過ぎてぱさぱさした感じになってるはずだから、ゼリー寄せにしよう、肉だけ皿に残して、汁をこっちの鍋にうつしておいてっと」
皿の煮汁を鍋に移して調味料の棚からゼラチンの粉末を出してきた。
「水をコップに2センチぐらいいれて、この粉ゼラチンを上からこうやって入れるんだ、ゼラチンに水をかけると、上手くいかないんで必ず水に振り入れるんだよ。後から加熱した2皿は予定の通り蒸し鶏にするから、冷めるまでこのままおいて置くんだ。今切ると肉の繊維が熱で開いてるから肉汁が出てしまう、美味しく成らないんだ」

充分冷めたところで端をすこしずつ切って味見をさせる。
「先ず最初に、上手くいったセイバー作の味付けのもの」
「リンの物と感じは違いますが、柔らかくて美味しいです」
「次に最初に10分加熱したもの」

「硬いしぱさついています、故郷で食べた鶏肉はこんな感じでした香りはそれよりは良いですが、この世界で食べた中ではどうも…」
「こっちは繊維と直角に細かく切っておこうね、俺の作ったのは前に食べたのと同じ筈だから後のお楽しみで」

煮汁に、スープ(インスタント)を足し、千切りのきくらげを入れ、ひとに立ちさせる、飲むときより濃い目の味にして味をととのえ、ゼラチンを煮溶かして、硬くなった鶏の細切りを入れた丼に注ぎ込みひと混ぜして。器を水につけて冷ましておく。

付け合せは中華はレタスを敷いて、きゅうりの千切りに市販のバンバンジ―ソース、和風はワカメと白髪ねぎにきゅうりのスライスとからし酢味噌、ゼリー寄せはレタスとトマトとした、中華風は藤ねえの買ってきた市販品も有るのである意味、比較してくらべるのに都合がいい。

遠坂と桜が揃ったところで味噌汁、納豆、がんもどきの煮付け、漬物などとともにご飯をよそい、藤ねえとセイバーにはビールを用意する.

「「「「「いただきまーす」」」」」
「セイバーがこれ蒸したの?中華も和風も上手に出来てるわ、士郎付っきりでいたんじゃない、こっちの酢味噌は士郎が作ったんでしょ。」
赤いあくまが表情で、この過保護めといいたそうな顔をする。レシピに10分ぐらい蒸すとだけ、コツも碌に書かずに渡した張本人が。
「鶏を蒸すのはセイバーがやったんだぞ」
「美味しいです。私がやるときはハーブと香味野菜入れて茹でちゃうんですけど、それよりしっとりしていています」
「なんで〜、私の買ってきたのより美味しい。いいわよ、今度からセイバーちゃんに作ってもらうもん」
はむはむ
「シシロウ、このゼリー寄せ美味しいです」
「あ、この分は味見できなかったわけね」
「つるっとした食感で美味しいです」
「そういえば士郎最近これ作って無いわねー、昔はよく作ってたのに、そっかさっきセイバーちゃん失敗しちゃったって、言って半べそかいてたのがこのぶんか、士郎も昔は失敗してたのね」
「いいだろ、別に」
ああ、赤いあくまが邪悪な微笑でこちらをみつめている。鼻でわらったな。怖いからなにも言えないけど…。





****ステータス更新****
セイバーは蒸し鶏を会得した
冷やし中華やサラダの具、つまみや前菜などに広く使えるうえに、ハムなどの加工肉の1/3程度のコストで作れる、エンゲル係数に悩む衛宮家にとって大切なレシピだ。







あとがき

作中にもあった程度の値段なんで、冷やし中華の具に最高です、胡麻だれに合います 。